2017年2月26日(日) 『多摩川水辺の楽校シンポジウム 川崎』 報告

日 時:2017年2月26日(日)10時30分~15時30分
場 所:大師河原水防センター(大師河原干潟館)
入場者:182名(スタッフ含む)


2017年2月26日(日) 川崎市大師河原水防センター(大師河原干潟館)にて、『多摩川水辺の楽校シンポジウム 川崎』を開催した。
 このシンポジウムは年に1回、多摩川で自然体験活動を実施している学校や水辺の楽校の生徒が集まって、それぞれの活動成果を発表し、互いの活動に活かすことを目的としたシンポジウムだ。
 今回のシンポジウムのテーマは、多摩川から伝える音色。シンポジウム会場に響いたハーモニーを紹介したい。

◆第1部(午前の部)
 10時30分、シンポジウムは奥平 哲也さん(マリンバ)、川上 史子さん(ピアノ)の演奏、「自然を奏でる」でスタートした。
 水辺の楽校の活動にちなみで演奏した『メダカの楽校』や森と水辺の関わりに想い巡らせた『森へ行きましょう』など、日本の名曲、西洋の名曲、合わせて9曲を聞かせていただいた。
多摩川水辺の楽校シンポジウム

 演奏の後は大師河原干潟館2階に上がり、主催者の川崎市からは多摩川施策推進課 稲垣 道人 課長補佐(写真上段右)から、そして来賓として国土交通省京浜河川事務所 服部 敦 所長(写真下段左)と株式会社よみうりサポートアンドサービス 笠松 功 さん(写真下段右)から挨拶を頂いた。
多摩川水辺の楽校シンポジウム多摩川水辺の楽校シンポジウム
多摩川水辺の楽校シンポジウム多摩川水辺の楽校シンポジウム

 続いて最初の発表は川崎市立西丸子小学校2年生による「いきもの博士になろう!ヤゴ救出大作戦」の学習発表だ。
 昨年の5月、プールで見つけたヤゴとの出会いから、救出、飼育、そして羽化するまでの発表で、それぞれが飼育したヤゴに対する愛情が感じられるものだった。
多摩川水辺の楽校シンポジウム多摩川水辺の楽校シンポジウム


 第1部の最後は川崎市立上丸子小学校 岩間 章 校長の基調講演。年に1回、学校をあげて行われる「多摩川デイ」という取組みについての講演で、生徒の環境学習と運営上の安全管理のため、教師はもちろん、おやじの会など保護者や地域の方を巻き込んで取り組んでいることが紹介された。多摩川水辺の楽校シンポジウム多摩川水辺の楽校シンポジウム


◆第2部(午後の部)
 第2部は岩間校長に基調講演を頂いた川崎市立上丸子小学校6年生の発表から始まった。
 岩間校長の基調講演で紹介があったとおり、上丸子小学校では多摩川を舞台として自然や環境、さらに地域の歴史などを学ぶ「多摩川デイ」という取り組みがある。この取り組みでは、自ら疑問に思ったことを自分で調べ、新しい知識とすることの大切さを学ぶことができた。そしてこういった活動を支えてくれた地域の方に向けた感謝の言葉が伝えられた。
多摩川水辺の楽校シンポジウム多摩川水辺の楽校シンポジウム

 次は今回司会を努めた川崎市立玉川中学校の発表だ。玉川中学校の総合的な学習の時間は選択制で、その中にとどろき水辺の楽校・玉川分校の講座がある。今回は玉川分校での活動から、ガサガサ体験、源流体験、草木染体験に関する発表があった。
多摩川水辺の楽校シンポジウム多摩川水辺の楽校シンポジウム

 続いては東京都府中市から府中水辺の楽校の発表だ。今年度の活動は発表会を含め11回の活動が行われ、それぞれについて子ども実行委員とチューターから発表があった。今年初めて開催した「品川水族館ボートレース平和島」のイベントでは、平和島で競艇選手から話を聞き、エンジン付きのゴムボートに乗船したり、陸上でレース用ボートのハンドルを握らせてもらったりといった新たな活動も始めていることが紹介された。
多摩川水辺の楽校シンポジウム多摩川水辺の楽校シンポジウム

 東京都大田区、うのき水辺の楽校の発表では、生徒が疑問に感じた事を調べ学んだ内容について発表があった。
 汽水域について調べた生徒は、汽水域の水面近くと川底に近くでCODパックテストや塩分濃度をを調べ、差があることから汽水域はただ海水と川の水の混ざった場所ではないことを発表し、学校近くの多摩川に大きさの異なるモクズガニがいることを疑問に感じた生徒はモクズガニの一生について調べ、産卵のため河口へ向かう親ガニと、これから上流へ向かう幼ガニがいることを発表した。
多摩川水辺の楽校シンポジウム多摩川水辺の楽校シンポジウム

 同じく東京都大田区、羽田水辺の楽校の発表では、4月から9月の間、月2回程度観察会を実施しているほか、区内小学校の総合学習の時間に多摩川の自然を使った自然観察会や環境学習を行っている。
 一般の観察会では1時間程度の観察会の後、清掃活動を実施している。干潟の土を掘り起こすとビニールやプラスティックゴミが埋まっている。そのような場所には酸素も太陽の光も届かず、生きものも棲むことができない。人が出したゴミは人が手を加えないと自然にはなくならない。干潟の将来に向けて、参加者と一緒に清掃活動を行っていると発表があった。
多摩川水辺の楽校シンポジウム多摩川水辺の楽校シンポジウム

 今回のシンポジウム会場、大師河原水防センターで活動するだいし水辺の楽校では楽校に通う親子とスタッフから発表があった。
 親子の発表は大師水辺の楽校で感じる四季についての発表で、四季折々観察できる鳥や水生生物が移り変わり、潮干狩りや釣り、凧揚げなど四季に応じた多摩川の楽しみ方を水辺の楽校のイベントで味わうことができるという発表だった。
 また今年度水辺の楽校に加わったスタッフからは、大師河原水防センターの紹介があり、水防センターの役割や組織の沿革、運営方法、そして水辺の楽校との関わりについて発表があった。さらに今年度、水辺の楽校のイベントで印象に残ったものをランキング形式で発表し、今後は歴史の分野に活動を広げたいという抱負が語られた。
多摩川水辺の楽校シンポジウム多摩川水辺の楽校シンポジウム

 最後にとどろき水辺の楽校の発表では楽校に通う姉弟とスタッフが今年度1年間の活動を振り返った。
 1月に実施した「凧揚げと雑煮大会」の紹介では当日姉弟が作成した凧を持参し、10月に実施した「川の安全教室」の紹介では、教室の中で学んだ方法で、緊急時に川を歩く場合には同行者と川の流れを受け流すことができるように陣形を組んで歩く良いといった紹介がなされた。
多摩川水辺の楽校シンポジウム多摩川水辺の楽校シンポジウム

 最後はとどろき水辺の楽校理事長 御前から時間を忘れて聞き入った今回の演奏、講演、発表と関係者への感謝、そして来年度の活動への期待を閉会の言葉として締めくくった。
多摩川水辺の楽校シンポジウム


【次回予定】
◆2017年3月20日(月・祝)『多摩川 めざせ!防災とお天気博士!!』開催のお知らせ
今回シンポジウムでお世話になった大師河原水防センター(大師河原干潟館)で天気と防災に関するイベントが開催されます。こちらもあわせてよろしくお願いします。 詳しくは 【こちら】 から。